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主張しすぎない、シンプルでさりげない、そして生活の中に溶け込んで長く使ってもらえるような木工品を作りたいと谷中で『いろはに木工所』をはじめた山下純子さん。 山下さんは住空間を作る仕事をやりたいと設計士を志し、古い木の家に長く住み続けることが大切、との考えからリフォーム設計の会社で働いていた。その仕事を通じて経験を重ねる中で、家や木そのものに触れることがほとんどない仕事にもどかしさを感じるようになった。このまま図面をひいてるだけでいいのだろうか、やはりもっと木に関わる仕事がしたい、と考え出し、5年が過ぎたある日に木工の勉強をする決意をして設計の仕事を離れた。本当に木工の仕事が自分にあっているのか1年間じっくりやってみようと、実家の茅ヶ崎近くにある平塚高等職業技術校に入学した。木の性質や設計・製図、塗装や道具の使い方など基礎的なことを学び、機械製作を経て卒業した。(右:本棚兼飾り棚 -ウォールナット-)
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卒業後、設計の仕事をしていた頃に雑誌に紹介されていた井崎正治氏が製作した「ちゃぶ台」に大きな影響受けたことから愛知県の蒲郡にある井崎正治氏の工房を訪れることになる。単なる工房見学のつもりが、もっと知りたい、もっと学びたいという思いがふつふつとわいてきて、なんと井崎氏の工房で修行することになった。塗装から始まった工房での経験は、何から何まで新鮮なことばかりで楽しくて仕方ない充実した日々。木工について多くのことを学ぶとともに、木に関わるこの仕事こそが自分のやりたい仕事であると感じるようになっていた。そして本当に得るものが多かった約6年間の経験を経て2003年秋に工房を離れた。
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そして次に訪れたのは東京の下町根津。本当に1人でやっていけるのか、という不安を抱えつつ1年という期限を設けてじっくり考えることにした。その間に、2004年10月の「谷中芸工展」に出展する機会があった。住んでいた古いアパートの2階の部屋での展示、しかも当日の天気は台風であったにも関わらず大勢の人が訪れてくれた。ここはこういうものを求めてくる人がいる場所で、そして物をつくろうとするエネルギーのある場所だと感じ、いよいよ根津での物件探しを開始した。1年という期限も近づいた頃、現在の店舗兼工房のある元々印刷工場だったビルの1階に物件が見つかった。女性1人で木工所を開くというのに快く物件を貸してくれる大家さんという存在が背中を押してくれたというのもあり、腹を据えて独立開業する決意をした。
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[上:左]『いろはに木工所』の店頭の様子 内装も山下さんが手がけた [下:左]谷中芸工展で出会った方からオーダーのあった、玄関で靴を脱ぎ履きする時に使うベンチ(タモ材) [下:右]家の片隅において違和感がないものが意外とないので作ったという「屑箱」(タモ材) |
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2005年2月から自分で内装を行い、作ってみたいものを考えながら、OPENの準備をすすめ、いよいよ桜の季節に店舗兼工房兼住居である『いろはに木工所』という空間が完成した。土・日・祝日に店舗を開き、それ以外の日は工房での製作。 木でしかできないもの、木だからこそできる暮らしを豊かにできるような、あるとほっとするようなものを作りたいと創作活動に勤しむ傍ら、訪れた人との会話から生まれるその人の生活のための木工品をオーダーメイドで製作しつつ、開業して1年が過ぎようとしている。
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木工品の作家さんのお店ではなく、地域の皆さんが気軽に相談してくれる町工場のようなお店にしていきたい、と考える山下さんは朗らかな笑顔で迎えてくれます。こんなのがあったらいいのに、と考えているものがあれば山下さんに相談してみてはいかがでしょうか。
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[上:右]オーダーメイドのピアノの上に置くための人形ケース。正面のガラス面をカーブさせて柔らかい雰囲気に仕上げている [下:左]柿渋を下塗りして拭き漆で仕上げた「ひとり膳」(タモ材) [下:右]積層させた桐を削ってつくる「たまご椅子」(桐)。部屋にあると愛らしく和むようなものを作りたくて製作したもの。子供でも大人でも座れます。
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- March 2006 -
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