|
|
本池大介氏が作る革小物とシルバーアクセサリー、弟の作人氏が作る靴。『LEATHER&SILVER MOTO』は本池兄弟を中心に製作されるレザーとシルバーの製品と彼ら自身が純粋にカタチにしたい作品があるSHOPである。 レザーアーティスト本池秀夫氏を父に持つ本池兄弟は、小さい頃から革に触れ、小学校の頃にはすでに自分用の革カバンをミシンで自作していた。そんな環境で育ち、自分はいったい何を作る人になるのだろうか、ということをずっと考えていた大介氏は、20歳の時に1年のオープンチケットでモノ作りの街フィレンツェへ渡る。とにかく1人でモノ作りについて考えるため。家具作りなのか楽器作りなのか、語学学校に通う傍ら街を彷徨いながら辿り着いたのはアクセサリー職人の工房。ふと立ち寄った時に見せられた父親と同じ手をしたおじいさんが大介氏を惹きつけた。そしてお店に毎日通いつめるうちに、なんとなく上がりこみ、いつの間にか手伝いをし、やがておじいさんに後継者になって欲しいと言われるほどに。
|
|
|
思いのほかスムーズにアクセサリー作りをマスターできた一方で、"革の難しさ"とその魅力を改めて感じることとなった。
|
 |
|
そして帰国後に父親の仕事を手伝うことで革について多くのことを学ぶこととなる。仕事はオーダーメイドで作っているオーストリッチやクロコダイルの革のカバン作りである。全工程を1人で行うのが父親の仕事のやり方で、高級で難しい素材を1人でまかされていたため、根気のいる張り詰めた作業の連続だった。朝の8時から深夜3時半まで、2年間作り続け、素材や製法など多くのことを学んだ。 フィレンツェでの1年間の経験と2年間の父親の元での修行を経て、1997年に米子でシルバーアクセサリーと爬虫類や牛革を使った革小物を扱う『LEATHER&SILVER MOTO』をOPENした。顧客も順調に増え、OPENから4年たった2000年に『MOTO』の靴を作りたいと弟の作人氏が加入した。美術大学で彫刻を学んだ作人氏は靴作りの素地はなかったが、大介氏同様モノづくり一家の一員として辿り着いたのが革製の靴作りだった。1年ほどの試行錯誤の末、大介氏も「MOTOらしい」と満足のいく靴の第一号が完成した。
|
 |
|
1人でできることには限界があるものだと考える大介氏は、弟の参加で靴が加わったことにより『MOTO』の可能性が広がったと感じた。そして兄弟がそれぞれの担当分野にはげみ『MOTO』が充実してきたこともあってよく売れていたそうだ。ただ一方で売れているモノが自分が作りたいものかというとそうではなかった。例えば自分がカタチにしたいイメージは手が込んでいて高価になったりするため、実際にはそうではないモノを作っていた。そういう葛藤から自分が作りたいものをわかってくれる人に見せたいと、東京でのSHOPのOPENを考えるようになった。
|
 |
|
そして2003年に青山店をOPENした。全く売れなかった1年目。売れない理由もわからなかったので、とにかく自分たちのスタイルを変えないでやり続けたのがよかったと振り返る通り、その後少しずつ知られる存在となった。そして東京にOPENして数年が経った今、米子で葛藤していた頃の感覚の誤りにようやく気がついた。それは当時作りたかったイメージが必ずしも良いモノではなかったり、逆に"売れるモノを作っている"と感じながら作っていたモノがむしろ良いモノと感じられたり。それは名曲が必ずしも作者の渾身の作品ばかりでもないのと同じように、それが製品であるならば自分の思いばかりをぶつけるようなものが必ず良いものではないということに気がついたから。だから今は肩の力も抜けて、慢心の無い製品作りができている、という。純粋に作りたい衝動は「art work」という作品としてカタチになっている。それは誰かに対して何かを伝える必要がなく、純粋にカタチにしたいモノ。見る人が作品として単純に楽しんだり何かを感じてもらえればよいだけのモノ。だから『MOTO』の製品は作り手のエゴイスティックな部分がそぎ落とされた、純粋にその素材やカタチで『MOTO』らしい魅力を伝えられる製品として作られている。
|
 |
[上:右]定番のシルバーアクセサリー。フィレンツェで自作のシルバーを身に着けていた時、カフェで見知らぬ人がそれに興味を持って声をかけてきたことで、「モノは伝わる」と実感した。 [下:左]最もリピーターの多い定番のブーツ(履きこんだサンプル) [下:右]店内にディスプレイされている「art work」の1つ。その他にも父である本池秀夫氏の作品をはじめ、様々な「art work」を楽しむことができる。
|
 |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
|
育った環境やこれまでの経験から『LEATHER&SILVER MOTO』では革へのこだわりが強い。これだけ新しいモノが次々に生み出され、古いものがどんどん捨てられていく世の中で、どんなに重くても、どんなに加工が大変でも革という素材が残っているのはやはり魅力があるからであり、誰よりもそれに魅せられているのが本池兄弟だ。彼らが製品に使う革は、仕入れる段階でタンナーに1つの工程を抜いてもらっているそうだ。その革にオリジナルの加工を施すことで、コストを抑えつつより理想的な革を手に入れている。また革の傷や皺は当たり前のようにそのまま生かして製品にする。何故ならそれが革というものなのだから。そしてその革から作られる製品の表情は『MOTO』らしいのである。
|
 |
|
自らレザーやシルバーの製品を使うことを楽しみ、その製品を作ることや純粋にカタチにしたい作品作りを楽しみ、そしてレザーやシルバーで作られたモノの魅力や楽しみ方を製品というカタチにして我々に提案してくれているのが『LEATHER&SILVER MOTO』なのである。バッグ、帽子、ベルト、靴、など一通り充実した『MOTO』では、今後はスタイリングできるレザーを使った洋服作りも充実させていくそうだ。
|
 |
|
これからの時代は純粋美術のアーティストが革の靴を作ったり、建築家が洋服を作ったりということがあってもよいのではないか、と大介氏は考える。そして若いアーティストやモノづくりを志す人達が自ら才能の芽を摘んでしまわないように、もっと多くの経験をして視野を広げて、いろんな可能性を探りながらチャレンジして欲しいとも感じている。きっと、本池兄弟はそんな見本となるべく、華やかな表通りの路地裏で淡々とそれを実践しているのでしょう。
|
 |
 |
 |
 |
 |
 |
 |
[上:左]場所によって異なる太さのレザーを編み上げた靴。履きこむことで革の艶だけでなく、それぞれのブロックのカタチが変わるおもしろさが楽しめる。 [下:右]『MOTO』のレザーで作られたカバン。仕上げの磨きにもこだわっている。その他いろいろな革小物がある。 [下:左]ギリギリの細さを攻めてみたというブーツ。紐靴にはないラフさが魅力。 |
 |
|
- June 2006 -
|
 |
| - LEATHER&SILVER MOTO - |
 | |
| address: | 東京都港区北青山3-10-2 |
| tel: | 03-3407-5836 |
| open: | 11:00 - 20:00 |
| holiday: | none |
| url: | http://www.motostyle.jp/ |
|