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『sette』という名の革のバッグは七條典子さんの手で作られている。七條さんはこれまで少しばかり遠回りしつつも、着実に礎を築きながら2006年春にWEBショップを通じて『sette』の販売を開始するに至った。
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実家の建替えに遭遇したことがきっかけで建築に興味を持つようになった七條さんは、多摩美術大学建築学科に入学する。そこでは建築の基礎技術はもとより美術大学という環境から芸術的側面の刺激を多く受ける。一方そのころより趣味で革の小物やバックをつくりはじめる。レザークラフト教室を開いていた祖母の影響により、幼少の頃から革に親しみがあり自然にそれを手にするようになっていた。
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実際に建築を学び、建物の設計などを経験する傍ら、趣味で革のバッグ作りをしているうちに「バッグは小さな建築物だなあ」と感じるようになった。そうすると家という大きな建築物より、型紙や縫製など最初から最後まで自分一人の手で完成させることができるバッグ作りの方が自分に丁度よい大きさであると考えるようになり、ついには大学在学中に進むべき道が"家を作る人"から"バッグを作る人"へと変わっていく。
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そして革でもっといろいろなものを作れるようになりたいとフィレンツェでバッグ作りを学ぶことを決意する。そこにはイタリア手縫いで作られる雰囲気や伝わってくる哲学が気に入っているバッグメーカーがあったからだ。計画通り卒業後は2年間のアルバイト生活で留学資金を蓄え、2001年5月にフィレンツェへ渡る。在日イタリア大使館で調べた職業訓練学校が半年後に開校するという情報を得て、入学できる確証もないまま現地で語学の勉強に励む。入学に際してイタリアでの失業証明証が必要とされたがアパートの大家さんの力添えもあり、無事にフィレンツェ公立職業訓練学校鞄コースへ入学する。1年目はバッグのパターンの引き方、2年目は作り方やその縫製の方法などを学ぶ充実の留学生活となった。
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[上:左]水牛の革のショルダーバッグ。七條さんが最も気に入っている風合いの革であり、その革の中でも最も気に入っている色で作られたもの。 [上:右]プリーツが特徴の最近の試作品のバッグ。 [下:左]革と糸の組み合わせの見本。既製品ではない色の糸は染色して作っている。 革の色、糸の色、裏地の色を選び、内ポケットや持ち手の長さ、マチの幅等も変更してオーダーすることができる。 |
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卒業後はそもそもの目的であった憧れのバッグメーカーへの就職を希望するも叶わず、半年間フィレンツェの工房でのハードな職人生活を経験し帰国する。日本ではバッグメーカーに就職するも、生産を外部委託するメーカーであったため企画の仕事が中心となり改めて自分の手でバッグを作る欲求を感じ退職。半年程の準備期間を経て2006年3月に『sette』という名のバッグの販売をはじめた。
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[上:右]シンプルな革のショルダーバッグで、表面のステッチから裏側の縫製まで全て手縫いで仕上げられている。 [下:左]革で編みこんだステッチが施されたオリジナルの持ち手部分。 [下:右]表面の縫い合わせの部分に黒の糸のステッチが施されている。またこのバッグは表面の縫い目は全て手縫いで縫製されている。 |
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バッグはプロダクトデザインとしては完成されているものであると七條さんは考えているので『sette』では素材が生きるようなデザインや、余計なものをどんどん削ぎ落としていくことで機能美が現れてくるようなデザインを追求している。
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その他に革という素材をなによりも楽しんでもらえるように使うほどに風合いの出るタンニンなめしの革を使っている。また縫製においては麻糸による手縫いとミシン仕立て双方を適所に使い分けている。手縫い部分は2本の針と1本の糸で交互に縫い進めていく非常に時間と手間の掛かる製法を用いているが、ミシン縫いでは出せない風合いになり、一箇所が切れてもホツレないという特色もある。この二つの縫い方を商品や縫製箇所によって使い分けて、よい風合をより長く使えるように仕上げている。そしてセミオーダーの際は、実際に中に入れる本や書類の大きさ、よく入れる物などを聞いて使い勝手のよいサイズを提案できるようにしている。
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このように『sette』のバッグは七條さんのこれまでの経験や考えをもとに、全て七條さんによって企画され、作られ、販売されている。現在『sette』は主に『sette』ホームページで商品を紹介して販売している。また毎週土曜日に台東区谷中の人力車音羽屋さんガレージで七條さんが実際に商品を紹介し、オーダー受付と販売を行っているので、そちらの方も是非のぞいてみてください。
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- March 2007 -
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